第2章 殺戮者

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咄嗟に身体を丸め手で体を守るような姿勢をとったが、放たれた光は私を吹き飛ばすわけでも破壊するわけでもなく、想定もしていなかった効果を私にもたらした。 「えっ・・・体が軽くなって・・・傷が治っていく・・・?」 里美から受けた打撲傷が一瞬の内に痣すら残さずに回復していく。先程までは立ち上がることすら困難だったのに、いまは何の苦労もなく立ち上がることができる。 「助けてくれたの・・・?なんで・・・」 私はその巨大な生命体の目をしっかりと見据える。その時、その生命体もまた視線を逸らさずにこちらをじっ、と見ていた。その目はどこか大切な友達の瞳に似ていて、お互いに敵意が無いことが分かる。 「痛っ・・・!!・・・なにこれ、頭の中に映像がっ・・・!!」 そうしてお互いに見つめ合って幾ばくかの時間が流れた後に、突然突き刺すような痛みと共に頭の中に直接映像のようなものが流れる。その映像は過去の記憶を思い出すかのように徐々に鮮明になっていき、気付けば目の前の視界は見たこともない場所を映していた。 「えっ・・・何処ここ?地球・・・じゃないよね?」 一面不毛な大地が拡がり、その殆どが大きく隆起してまるでグランドキャニオンのような様相を成している。その岩のような表面は薄白さを帯びた淡い緑色をしていて、私の知る限り地球上にこんな景色はなかった。
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