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そして、何より私が地球ではないと決めつけた理由は、目の前に鎮座する数十体もの巨大な像だった。
それは、先程私の目の前に現れた巨大な生命体と酷似した姿をしていて、唯一違うのがその表面が完全に硬質化していて動きそうにもないことだった。
「なんなの・・・あの巨大な生命体が一体だけじゃなくてこんなにいるの・・・?」
巨大な像は寸分足りとも動くことはなく、ただ無造作に聳え立っていた。その何十体ともある像の中心に顔に触手を携えたあの巨大な生命体が周囲の像と同じように鎮座していた。
「これって、私の傷を癒してくれたあの巨人だよね?なんだか博物館にある翡翠を削った装飾品みたい」
私はゆっくりと歩くとその巨像の前に立ち、その遥か高くにある顔を拝み見た。その顔は触手を生やし、どこか蛸を思わせるようなグロテスクな造形をしているのだが、やはり私はどこか見覚えがあって単純に気持ち悪い等と切り捨てることができなかった。
「すごい・・・この石像の触り心地・・・すべすべ・・・」
その石像の表面のあまりの滑らかさに私は思わず手を伸ばし、その表面を手のひらで優しく撫でてみる。予想通り、その触り心地はとても滑らかで一切指に引っ掛かるものが無かった。微かに伝わる石材の冷たさが心地よく素晴らしい。
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