第1章 海からの贈り物

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「あんたたち何やってんの!?いじめなんか最低な奴等のすることよ!!」 普段本を読んだりゲームばかりしている割にはそれほど体力は衰えていないようだ。運動には自信があった以前と比べても遜色ない速さで、少年達の元に辿り着くことができた。 「うわ!!なんだよ!なにもしてねえっての!」 「ったく、行こうぜみんな!」 少年達は一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐにバツの悪そうな不機嫌な顔を見せた。木の棒を後ろに隠しながら、平静を装うように強がりながら私から離れていく。 (やっぱりこの少年達もあいつ等と同じ・・・平気で人を傷付けて喜ぶ・・・) 先程の吐き気と悪寒が未だに体から消えない。いつもなら立っているのが精一杯の状況で、こんな行動をするなんて考えられなかった。 「おい、礼を言うぞ。ありがとう助かったぞ愚民よ」 膝に手を当て、どうにか息を整えていると、どこからともなく声が聞こえた。しかし、周囲を見渡しても、もちろん誰もいない。 「おい、こっちじゃ!下だ、下を見ろ!」 声の指示通り、目の前の地面を覗き込む。 「えっ・・・クラゲが喋ってる・・・!?」 そこにいたのは、半透明な体を持つクラゲのような生き物だった。薄い水色の皮膜をぷるんぷるんと揺らせながら、つぶらな楕円形の瞳でこちらをじっと見つめている。
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