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episode235 ドリアン・グレイナイト②
「くすぐったい?」
「大丈夫」
上等な絵筆の先は柔らかな獣毛。
狸かウサギか知らないけれど
「なら、ここは?」
「ちょっと……!わざとだね?」
縦横無尽に僕の身体の上を這い回る。
「ふふ、動かないで。腰のくびれには百合を描こう」
「カサブランカ?」
「いや、もっと小ぶりなすかし百合」
そして繊細な筆先が這う度
僕の身体はさながら花畑のように絵付けされていった。
「ア……」
「ごめん。すぐ終わるから」
ユウタは断って僕の腰をそっと掴んだ。
真剣な眼差しに長い睫毛の影が落ちる。
「いいよ……すぐじゃなくていい」
「そう?」
長い指を僕の下腹部を添えると
いよいよ
「ならじっくり描きこもうか」
ユウタは裸の僕を座らせた椅子の前に跪き
上目遣いに言って笑った。
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