翡翠の主

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 僕は思わず息を呑んだ。こうして目の当たりにすると、あまりの美しさに声を失ってしまう。  まず、主は他のカワセミに比べ、一回り大きかった。そして何度も言うが、その圧倒的な美しさだ。綺のごとく麗しいとはよく言ったもので、羽毛の一本一本が絹織物のように繊細でつややかであった。他のカワセミが上級の宝石だとすれば、主は特級であった。そして自身の美しさを知っているのか、たたずまいも堂々としており、大きさと相まって迫力を感じた。  僕は一目で魅了され、夢中でシャッターを切り続けた。時にアップで、時にぐっと引いて風景の一部として撮った。若葉と湖と陽の色が主の青と見事な調和を見せ、風景画として美術館で並んでいても良いくらいであった。
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