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貴方とあたしのいたい場所
世界のどこかで、誰かが叫んだ。
喉を引き裂く様に、血を吐く様に。
「私に居場所を下さい!
小さな場所でも良いんです!
世界の片隅でも良いんです!
私が居ても良い場所を下さい!
私がいる事を、赦して下さいッ!」
…そして世界は、黙れと言った。
お前如きにくれてやる場所なんか無いんだと、
お前如きに構う暇なんか無いんだと、
そう、誰かに向かって吐き捨てた。
それでも誰かは叫び続ける。
いつかこの声が、誰でも良いから届きます様に。
…そんな、叶う筈の無い祈りを込めて。
【一月十五日/木曜日/ざんざか降りの雨】
明け方に降り出し、夜中の今になってもまだ降り続く、肌を切り裂き、内臓を凍て付かせてしまいそうな雨。
その雨を全力で受け止めてやったと言わんばかりに濡れている、マンション入り口へ続く階段。
…少女はそこに、身じろぎもせず俯き座り込んでいた。
服の濡れ具合から見てもついさっき座ったとはとても思えない。
側に置いてあるぱんぱんのボストンバッグも、たっぷり水を吸って変色してしまっている。
「……お前、いつまでそこにいるつもりだ?」
「…………誰?」
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