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ポクポク、ポクポク。
―いやあ、嬉しいねえ。まさかこんなに大勢集まってくれるなんてねえ。長生きもしてみるもんだねえ。
―みっちゃん。初枝ちゃん。田嶋さん。
嫌ねえ、みんなそんなに泣かなくってもいいのにさ。
なんだかあたしが悪いことしてるみたいじゃない。
結局、あたしが一番だったようね。まったく、冗談で言ってるつもりだったのにさ。
―あそこにいるのは、よし子さんちのヒロ君かねえ。大きくなったわねえ。前に見たのは小学校に入ったばかりの時だったかしら。
―あれ、もしかして浜田の爺さんじゃない?まったく、まだ生きてたんかい。
まさかあたしの方が先に逝っちまうとはね。
まあ、遠いところからわざわざご苦労なことだわ。
―お隣の佐山さん。流石に今日はいつもみたく派手な格好してないわね。
なんだか、ちょっとがっかりだわ。
―黒田さんとこの奥さん、退屈そうにしてるわねえ。
まあ、そういう人が一人二人いたって、おかしくはないけどね。あたしだって人の葬式なんて退屈でしようがないもの。
それにしてもよくこれだけ集まってくれたわ。
ポクポク、ポクポク。
―おや。俊平のやつ、泣いてるのかね。
こりゃ驚いたねえ。おばあが死んで悲しいんか?これは悪いことをしたねえ。
もう小遣いをくれる人もいなくなっちまったからなあ。
お前は金をやるとすごく喜んだねえ。そんでもって、しょっちゅうあたしの肩を叩きたがるんだから困ったもんだよ。
でもね、そういう意味じゃあ、あんたがこの家族の中で一番まともだったかもしれないねえ。
実際、家ん中であたしと話そうとするのは俊平ちゃんぐらいのもんだったからね。
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