プロローグ

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遺影には見覚えがあった。 去年キャンプに行った時、二人で撮ったものだ。 彼女は今、その写真の前で立ち尽くす私を前に何を思っているのだろう。どうして早く来てくれなかったの? って怒っているのだろうか。 花が咲いたように笑うその写真からは、もう彼女の気持ちを知ることはできない。 わかるのは二度と楽しかったあの頃には戻れないということ。 制服に身を包んだ私は、膝から崩れるようにその場に泣き伏した。
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