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ーA year laterー
私は去年有川が立った同じ場所にいた。
この一年。ここまでくるのに色々とあった。怪我をしたり、自己嫌悪に陥ったり、悔し涙を流したり。
だけどどんな私も見捨てず、有川は彼氏として、仲間として、ずっと隣で励まし続けてくれた。有川のおかげで今の私がいる。
「光軌、行ってくるね」
「ここで見ててやるから精一杯やってこいよ、都」
光軌とみんなに背中を押されてフィールドに向かった。
泣こうが、転ぼうが、これが最後の陸上生活。そう思うと途端に色んな想いが込み上げてくる。
だけどここは集中だ。長い髪をキュッと高く結び、深呼吸しながら真っ直ぐフィールドを見つめた。
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