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「なんかよくわかんねぇけど、お前のこと見てるやつは見てるんだよ。明日新井にお礼言っとけば」
そう言う有川の声が布団越しに聞こえる。見てくれている人がいる、か。
「じゃあ俺部活あるから行くわ。親御さんが迎えに来るらしいから、それまで安静にしてろよ」
そう言う声の後、布団の上からわしゃわしゃと撫でられた。
どうしてだろう。さっきまであんなに落ち込んでいたのに、嘘みたいに心がスッキリしている。あいつといるといつのまにか負のループからも抜け出している。
励ましてくれるわけでも、元気づけようとするわけでもないのに。
不思議。パタパタと遠のいていく足音を聞きながら、一人ぼんやりと真っ白な天井を眺めていた。
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