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蒼空
あの頃の僕はまだ、現実というものを理解していなかった。
自分でも意識できたはずなのに、まったく行動が伴っていなかった。
そして「変わろう」と思ったはずだ。何度も、何度も。何度でも変わろうとした。でも、結局は自分の殻を破れないまま、こうして屋上に来てしまった。自分のことを情けないと、何度思ったことだろうか。
もっともっと、自分の気持ちに正直になっていればよかった。
もっと、自分に、他人に、過去に、現実に、向き合っていれば良かった。
世の中で最も残酷なもの。それは時間だと、かのアリストテレスは言った。僕もそう思うが、彼が言った意味はおよそかけ離れている。僕風の持論で解釈するならば、時間とは過ぎ去るもので、ただ人間に現実というものを突き付けて、大切なものを奪ってゆく、とても酷いものなのだ。だが時間というものは、人間によって都合よく作り出された概念でしかないのだ。何かあるとそのせいにして、怒りをぶつけることができる優れもの。だが、そんなものはもちろん空虚なものでしかなく、八つ当たりの対象に成りえるものではない。哲学者は、ただ人のストレスを募らせるためだけに、時間という概念を生み出したのだろうか。
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