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プロローグ
7人の男女がテーブルを囲んでいた。
「テルだけ、別に話があるの。一緒に来て」
焦げ茶色の髪の少年のような少女が立ち上がり、部屋の外へと出て行く。
テルと呼ばれた青年、というか、肌の色が青緑で銀髪、尖った耳をした異様な姿をした人物が立ち上がり、その少女の後を着いていった。
部屋に残ったものたちは、彼らのこれから起こるだろうことに考えを巡らせ、みな黙っていた。
外に出ると、柔らかな日差しが辺りを包んでいた。
山の頂上近くだとは到底思えない。
家の横に回ると眼窩を見渡すことができた。
さすがに景色がいい。
少女が足を止め、振り向く。
青緑の肌に銀髪の青年も足を止めた。
思わずじっと顔を見る。
この世界に来てからずっと見ている顔。
ずっと、いつも側にあった。
時に離れることがあっても、その背中を追いかけた。
殺されかけたこともあるし、殺しかけたこともある。
苦しいことも哀しいことも、一緒に乗り越えてきた。
どんな時も隣にあった存在。
だけど今、とうとうそのときが来た。
言わなければならない。その言葉を。
少女がゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「テル・・・ここで、本当に、・・・お別れ・・・」
少し冷たい風が二人の間を通り抜けた。
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