始まりの始まり

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暗いような明るいような。 目を閉じたまま光に顔を向けているようなそんな感じ。 懐かしいようでまったく知らないところ。 上も下もない空間。 さっきまで確かに近くの川原で魔法陣なんて書いて遊んでいたのに、一体僕は何処にいるんだろう? ――とのんきに考えていた。 ばっしゃーーーん! ごぼごぼごぼ… 気がつくと川に落ちていた。 必死に手足を動かして水面へ顔を出す。 「ぶへ!」 お上品も何もあったもんじゃない。 ちらりと遠い岸辺に人影を見た気がした。 「助け…」 バッシャア! 水の中に引きずり込まれる。 流れが速い! 体が言うことを聞かない! もがきながらも体が沈んでいくのを感じていた。 肺が空気を欲しがっている。 苦しい。 苦しい。 苦しい・・・。 上も下も分からない・・・。 もはや動くことも出来ない・・・。 短い人生だったな・・・。お醤油買いに行ってる途中だったのに・・・。今日肉じゃがって言ってたっけ・・・。お醤油なくてどうやって味付けするんだろう・・・。ああ、冷蔵庫のプリン・・・。僕が死んだら誰が食べるんだろう・・・。僕が死んだらみんな泣いてくれるのかな・・・。小百合たちは泣くな・・・。お母さんも泣くな・・・。お酒飲むと泣き上戸だから困るんだよね。ぐちぐちと聞くこっちの身にもなれっつーの!お酒は控えろってあれほど言ってるのに!お父さんも勧めんじゃない!って僕・・・死ぬ間際だってのに・・・何を考えているんだか・・・。つまらない人生だったなぁ・・・。もっと冒険したかった・・・。そうだ・・・あの本がまだ読み途中で・・・ (注)一瞬にして思ったことです↑ まだまだあれやこれやと続きますが、いい加減うるさいので先に進みます。 意識が途切れる寸前、光の中を天使が迎えに来た・・・。
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