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暖かく柔らかいものを顔の近くに感じた。
そう感じた途端に意識が急速に目覚めていく。
「ごほっ!げほげほ!」
肺が空気を求めて動き出す。
飲み込んでしまっていた水が口から溢れ出す。
肺が痛い。
器官が痛い。
鼻が痛い!
でも生きてる!
生きてる!
なんで?
「気付いたか…」
空から声が聞こえた。
訂正。
上から声が聞こえた。
今横になっているから顔の前から。
目を開けるとフードをかぶってマスクをした、多分男の人、が僕を見下ろしていた。
顔が良く見えない。
「大丈夫か?」
「誰?」
頭がまだ少しボーっとしてる。
「通りすがりのお人好しさ」
そういうとひょいっと僕を抱き上げた!
(お姫様抱っこ!)
そっちにびっくりかい!
なんて一人突っ込みは置いといて。
「向こうに火があるからそこで体を温めるといい」
そういうと軽々と僕を抱いたまま歩き出す。
初めてのお姫様抱っこに衝撃を受けたものの、
(悪くないなぁ…)
なんて思っている僕だった。
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