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「そこの茂みで服を脱いで来い」
そういうとその人はマントを脱いで僕に渡した。
ぽたぽたと水を滴らせながら
「ほ~い」
と僕は言われた通り茂みへ入った。
パチパチと炎の爆ぜる音がする。
服を脱いでマントを羽織る。
見た目よりも暖かくて軽い。
「脱いだ」
と言って出て行くと、
「貸してみろ」
とその人に服を渡した。
すると何を思ったのか地面に手をついて、なにやらぶつぶつと唱え始めた。
「ウル…」
唱え終えた途端、地面が怪しげに光った!
するとそこからうねうねと木の根っこみたいのが伸びてきて、あっという間に服を干すのにちょうど良い物干しが出来てしまった!
(なんじゃこりゃ!)
「これでいいか」
当たり前のように服を干すと、
「どうした? 座れよ」
とその人は言った。
(そうだよ!まともに考えてみたら…ここどこ?!
僕はお醤油を買いにいって、帰りに川原で魔法陣書いて遊んでて、
来年受験だ嫌だな~って思って、
お月様にどうか進路がうまくまとまりますように~なんてお願いしてて、
そしたら月がパーッと明るくなったような気がしたら、
突然暗くなって、そしたら川に落ちて、
って僕どうやって川に落ちたんだ?
しかもここ近所の川原じゃないし!
ってか森だし!ここどこの森?!…)
とぶつぶついっていると、
「おい、とりあえず座れよ」
とその人が魚を棒に刺して焼きながら言った。
「ねえ! ここどこ!」
ずずずいっと聞いてみる。
「は?どこって、ミドル王国に行く途中にある、リーヴ川のほとりだが…」
(どこだよ!)
聞いたこともない。
考えられることは一つ。
よっぽど僕の頭が変になっていないか、誰かが大掛かりなセットで騙していない限り、いわゆる神隠しみたいなものにあって、異世界に来てしまった。
・・・
そんなことあるわきゃない。
あれは空想の世界の話なんだ。
そうさ、これは夢なんだ。
じゃなきゃ幻か、はたまた…なんだろう?
とりあえず…
おうちに帰して~~~~!
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