とある農民の場合

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…………。 農閑期の、倍? 思わず黙ってしまった俺に、側近は我が意を得たりと「破格でしょう?」と笑う。 どこかほっとしたような彼の顔には、これだけ払えば引き受けるだろう?と書いてある。 それと正反対に、無言になった俺を見た国王が手で額を覆った。 いつもの報酬は、半分以上俺の暇つぶしを兼ねているとすれば相当高い。 それの倍と言ったら、1年遊んで仕事しなくて済むくらいの金額にはなるかもしれない。 確かに。 普通なら、十分な金額かもしれないが―― 「ああ?  てめぇ農繁期舐めんなよ。  俺に高々倍程度で畑仕事を放棄しろってか?」     
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