真っ赤な白鳥

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 ずうっと平均点をとり続けてきました。  平均点がとれるっていうのは、とってもいいことなのよ? だって、ちょうど真ん中ってことなんだから。  母はそう言って私をなぐさめてくれましたが、私は平均点なんてつまらないと思うんです。  だって、ちょうど真ん中ってことなんですもの。  学生の頃の成績もちょうど真ん中でした。ご存知のように、顔もちょうど真ん中。友達も多くも少なくもなくて、それなりに楽しい毎日を送ってきました。  みんなに彼氏ができ始めた頃、私も初めての恋をしました。おんなじ真ん中の男の子。平均点同士の私達はセオリー通りの恋愛をして、結ばれました。平均点の恋愛は、それなりに素敵でした。そしてみんなが受験のために彼氏と別れ始めた頃に、私も彼とお別れしました。セオリー通りに傷付いて、セオリー通りに立ち直る。今思えばくだらないなと思いますが、あの頃の私なりに、一生懸命「真ん中の青春」を謳歌したんです。  大学も真ん中の学校でしたね。あそこであなたに会いました。学校は真ん中なのに、あなたは全然真ん中じゃなかった。私は、驚きました。  とてもエネルギーにあふれたあなた。見た目はやさ男みたいなのに(ごめんなさい)、あなたは求心力があってとても人気者でした。女の子にはとてもモテましたし、男の子のお友達もたくさんいましたね。キャンパスで輝くあなたに、私はあっと言う間に吸いこまれてしまったんです。 だって、あなたは1番上の場所にいたんですもの。  そこから私の試練の日々が始まりました。……なんて言うと、少し大げさですが。本当なんですよ? 私はあなたと同じ場所に行きたくて、真ん中を脱出するべく一生懸命がんばったんです。  メイクも、おしゃれも。ダイエットもがんばりました。あなたが好きだというサッカーも勉強したわ。勇気を出してサークルにも入りました。少しずつ見える景色が変わってきて、付き合うお友達も変わりました。キラキラしたお友達と合わせるために、私はきっとたくさんの無理をした。  でも、それでよかったんです。私は、やっとあなたとお話が出来る場所に立つことができたんですもの。同じお友達のグループに入って、一緒に旅行にも行きましたね。初めての海外旅行。ハワイ、楽しかったな。
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