真っ赤な白鳥

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 でもお金はいるんです。美佐と有希子のおこづかい。私は、消費者金融から借りることにしました。バカな女だと思いますか? けれど、あなたに知られてさげすまれたら、私はきっと発狂します。こんなにこんなに愛しているの。やっと手に入れたあなたを、手放すなんて私には考えられなかった。  50万、6回借りたらもう借してもらえなくなりました。会社にもサラ金から電話がかかってきます。実家にも連絡がいきました。親はおどろいて泣きました。理由を話せと言われましたが、私は断固として口を開きませんでした。さすがに親には迷惑をかけられません。母は「平均点の私」を認めてくれた。平均点から抜け出そうとして、私は底なし沼に足を取られてしまったのだけれど。  もうどうにもならないと思ったから、昨日、美佐に電話しました。もうお金は作れないと。借金しろと言われたので、すでにしていて、もうどこも借してくれないと伝えました。すると、美佐は電話の向こうで笑いました。 「あーあ、ゲームオーバーか。金が目的じゃなかったのよ? 悠一のために堕ちていくあんたを見るのが、あたし達は面白かった。無理してあたし達のレベルをよそおって、みっともないあんたは最高だったわ。はい、破滅。悠一に伝えるわ。失恋と借金と売春で、あんたの人生は終了よ」  ……そのとおりですね。私の人生は終了です。  でも、美佐も有希子も知らないことがひとつだけあります。それは、あなたと私が、愛し合っているということ。  私はこの秘密を、すこしひけらかしてから死のうと思います。今この手紙を書いている私のそばには、私のベッドで薬を飲んでぐっすりと眠っている、あなた。  女の力でも、体重をかければ心臓までひと突きにできるそうです。苦しまないでね。痛みすら感じないように、うまくやるから。最後にあなたに愛してもらった、感触を忘れないうちに。  ひと突きにします。この手紙はにぎったまま死にます。あの世で読んでください。この先は二人きり。あなたはもう逃げられないわ。私が売春婦でも、あなたはもう私から離れられない。  愛しています。では、先に行って待っててね。
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