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「艦長、あなたのしようとすることは分かりました。ですが、“海賊ジャヴィール”っていうのは?」
眉間に縦ジワを作り、心なしか口元が引きつっているジャーヴィス。
シャインはそんなジャーヴィスの様子に、おや? と顔をしかめた。
「本名を使うわけにはいかないだろう? 君が、この『ジャヴィール海賊団』の頭領なんだから」
「はぁっ!?」
硬直するジャーヴィス。その顔は血の気が引いて蒼白になっている。
「しかしっ、あなたは私の上官なんですよ! 頭は私ではなくて、あなたがなるべきだと思いますがっ!」
ジャーヴィスの言い分はよくわかる。
シャインは首を横に振った。
「まあね。けれど今回俺は表舞台に立つ訳にはいかなくてね。商船の人達の協力も必要だから、遠慮させてもらったんだ」
「でも――」
「もう決めたことだ」
シャインは鋭くジャーヴィスに言った。
ジャーヴィスの心境は察するが、この役目は彼にしか務まらない。
「――り、了解いたしました」
ジャーヴィスが顔を俯かせ、渋々了承の言葉を口にした。
「それでは早速皆には、ジェミナ・クラスに上陸して『海賊ストーム』に関する情報を集めてもらう。細かい指示は個別に後で出す。それから、この作戦は他言無用だ。例え海軍の人間でも一切話してはだめだ。全員わかったね?」
「はっ」
ロワールハイネス号の乗組員は右手を額の前につけ、シャインに敬意を表した。
シャインは同じように右手を上げて返礼した。
「よろしい。では、着替えてもらって結構です。指示あるまで待機とします。解散」
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