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シャインは不意に胸に走った痛みに顔をしかめた。
そして誰かの強い視線を感じた。
誰かと問う必要はない。
それはずっとシャインの近くで感じていたものだ。
ロワール。
彼女に意識を合わせてしまったら。
彼女の声を聞いてしまったら。彼女の姿をほんの少しだけでも見てしまったら。
決めた覚悟が揺らいでしまう。
「坊や、あたしは……あたしは海賊だけどね。今までちゃんと、あんたの要求を聞き入れてあげた。わかるかい?」
「ああ」
ストームはそっとシャインの方へ、剣を間に入れたまま顔を寄せた。
声のトーンを落とす。
「あんたが副長と話をして、その指輪を渡したいなら……そうさせてやるよ。だが、その際に逃げようなんて気は……起こすんじゃないよ。今この船にいるのはあたしひとりだけど、すぐに手下が乗り込んで、あんたの部下を八つ裂きにしてやるからね」
「約束する。副長に指輪を渡して後の事を頼んだら、お前の船に乗る」
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