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シャインは軽く嘆息して目を伏せた。
ストームの剣を握った時に手のひらを傷つけてしまったので、マントの裾を手に絡ませ血を拭うと、シャインはジャーヴィスの左手首を黙って掴んだ。
ジャーヴィスはそれを拒否するように左手を引こうとしたが、しっかりとシャインが手首をつかんでいるので動かすことができない。
「お願いだ、ジャーヴィス副長。これは俺が犯した失敗の清算なんだ。君にはいろいろと世話になった。今までありがとう」
「……私は……」
ジャーヴィスがシャインから視線をそらし、掴まれている左手をぐっと握りしめる。
その胸に去来する思いをシャインには知る由がない。
だが自分の行動は、あまりにも身勝手すぎるということだけは意識していた。
シャインは左手に持ったブルーエイジの指輪を見つめた。
未練たらたらな自分の思いを断ち切るように。
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