2-19 失敗の清算

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 何を躊躇している。  これをジャーヴィスに渡してストームの船に乗るのだ。  『俺は逃げない』  そう――ストームと約束したのだから。  そしてそれこそが、誰も傷つかなくて済む最良の方法だ。   「後の事は頼む」 「……」  ずっとシャインを睨み付けていたジャーヴィスが顔を俯かせた。  よくよく見ないと気付かないが、その唇はぐっと引き締められ小刻みに震えている。  シャインは黙ったまま、ジャーヴィスの左手に指輪を載せようとした。  しかし、ジャーヴィスはその手をしっかりと握りしめている。 「ジャーヴィス副長、これじゃあ指輪が渡せな……」  肺の中の空気が一度に抜けてしまったように、シャインは息苦しさを感じた。  正確には、全身を突き抜ける予想外の痛みのせいで、息ができなくなった。  膝に力が入らない。  前のめりに倒れる体を支えようと、シャインはジャーヴィスの肩を掴んだ。  ジャーヴィスの右の拳が、シャインの鳩尾を深く突いていた。 『駄目だ、ジャーヴィス。俺は……あの人と同じになってしまう。それだけは……嫌だ……』
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