2-19 失敗の清算

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「クラウス! 武器庫を開けてみんなに武器を配れ! それから誰か、手を貸してくれ!!」  ミズンマストの前でシルフィードのそばについていたクラウスは、弾かれたようにすくっと立ち上がった。 「はい! 副長! そうだ、後部ハッチの壁に、非常用の斧を立て掛けてある。それを持って誰か……副長の所へ……!」  クラウスは溢れてくる涙を指で弾き、脱兎のごとく後部ハッチへ走った。 「クラウスさん、俺達が行きますぜ」  扉の横の壁に固定されている斧を取ろうとしたクラウスの頭上を、太い腕がにゅうっとよぎり、軽々とそれを持ち上げた。  先程シルフィードを運んだ中年の水兵エルマと、声の主は見張りのエリックだ。 「お願いします」  クラウスは大きくうなずいた。 「斧はあと二本ある。早く副長に手を貸してあげて!」 「わかってますよ。おおい! みんな早く武器庫へ急げ! 海賊共を逃がしちまうぞ!」  エリックは大声で水兵達に声をかけると、クラウスにぺこりと頭を下げ、エルマと共にジャーヴィスの所へ走っていった。
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