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シャインはロワールへ近づいた。
彼女の姿は十七才ぐらいの少女で、ケープのついた白い花びらを思わせる服を纏っている。
どちらかといえば小柄な体格で、身長もシャインの胸あたりぐらいの高さしかない。
「でも俺には君が『はっきり』見えるんだ。そして――」
シャインは右手を上げてロワールの肩に置いた。
華奢だと思う。少し力を加えれば壊れてしまうんじゃないだろうか。
「そう――君に『触れて』いると感じるんだ。君がすり抜けてみせた扉と同じなら、俺は君に触れることができないはずなのに……」
「……そうね」
肩に置かれたシャインの手に、ロワールの左手がそっと載せられた。
手と手が触れ合う温もりが伝わってくる。
それは人間同士のものとなんら変わりがない。
瞳を伏せ、ロワールが呟いた。
「私も――あなたに『触れて』いるって感じるわ」
囁くように聞こえた彼女の声は、何かを悟ったようだった。
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