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『なにするのよ! バカ副長! 痛いじゃないっ!』
その時、忘れようにも忘れられない“声”が聞こえた。
ジャーヴィスは一瞬自分が馬鹿呼ばわりされたことに、しばし呆然となった。
そんなジャーヴィスにお構いなく、突如、ロワールハイネス号が大きく身震いするかのように船体を激しく振動させた。
『もう……怒ったわよ。黙って見ているのも飽きちゃったしね!!』
マストからぶら下がっているいくつもの上げ綱や、滑車が大きく振り子のように揺れた。ロワールハイネス号の甲板は、立っているのが困難な状態で、水兵達はバランスを崩して次々と倒れた。
「レイディが怒ってるぞ……副長、一体何やったんだ?」
「うわあ、彼女、船を沈ませるつもりかーー?」
私のせいなのか?
ジャーヴィスは戸惑いつつ、斧を手にしたまま、体を支えるため船縁にしがみついていた。
と、バシャーンと大きな水音が響いた。
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