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ロワ-ルハイネス号の船首の突端で、水色の微光を放っていたロワールの体からそれがふっと消え失せた。
ロワールは目を閉じたまま大きく息をつき、震える我が身を支えるように両手で肩を抱いた。
少し前かがみになった体勢で、ちらりとストームの船を見る。
ロワールハイネス号の舳先がストームの船の船首甲板を押さえ付けるようにのっかっている。そして、フォアマスト(一番前)を左右から支える静索(シュラウド)の格子状に組まれたロープの間に、ストームの船の帆桁(ヤード)やら、滑車などががっちりと挟み込まれている。
これをすぐに外して逃げることなど不可能だ。
ロワールは再び息をついた。
かなり力を消耗したため、しばらく人の姿をとることをやめなければならない。
だがロワールは微笑んでいた。
無理はしたがこれでよかったのだ。
『今回のことは貸しにしとくわよ……シャイン』
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