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「よく動く口だ……騒がしいったらありゃしない」
眉間を寄せたジャーヴィスは、指示がやっと一段落ついたので、彼女を船倉へ放り込もうと思い、きびすを返してミズンマストの方へ近付いた。
その時、足元で青く光る小さなものが転がっているのに気付いた。
かがんで拾い上げてみると、それはシャインのブルーエイジの指輪だった。
肌を刺すような冷たい金属の感覚に、ジャーヴィスは身震いしながら航海服のポケットに指輪をしまった。けれどこれが見つかった事に安堵していた。
失くしてしまったら、シャインがどんなにがっがりするか目に見えていたからだ。
ジャーヴィスが、自分のところに近付いてくる気配を感じたストームは、ことさら激しく罵りの声を上げた。
「一時でもあの坊やを信じたあたしが馬鹿だったよ! 海軍なんてみんなみんな、平気で約束を破る悪魔のような連中さ!」
「……いい加減そのうるさい口を黙らせろ。さるぐつわをするぞ」
彼女の悪態に辟易したジャーヴィスは、両手をズボンのポケットに突っ込んで、長身を折り曲げ、その顔をいまいましげに睨みつけた。
けれどストームはせせら笑っている。
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