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「……どっこいしょ」
ストームは船腹の壁に背を預けて座り込んだ。
両手は前で手首を合わせるかたちで縛られている。
ジャーヴィスの階段を上がる靴音を聞きながら、彼女は大きな欠伸をした。
「あたしとしたことが、もう少しで口を滑らせるところだったよ。お頭に知られたらこっちの身が危なくなる。だけどね……」
ストームは目を閉じた。
「度胸の据わった、思い切りのいい坊やだったよ。海賊でも手下のために、あそこまでできる人間はそういやしない。……できれば死なせたくないねぇ」
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