2-21 かけがえのないもの

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「最近、こんなことばっかりだね。俺は」  シャインは自身の不甲斐なさを口にした。 「そうですね」  答えたジャーヴィスの目が細くなる。  しかしその顔はとても穏やかだった。 「……どれくらい眠ってたんだ?」 「今、午前4時ですから……8時間くらいです」  応接机の傍らに立つジャーヴィスの口調は淡々としている。  シャインは長椅子に寝そべったまま両手で顔を覆った。  誰かが手当てをしてくれたのか、掌には真新しい包帯が巻かれている。  消毒薬のすえた臭いが鼻についた。 「ストームは、捕まえたのかい?」  ジャーヴィスに指輪を渡そうとした所までは覚えている。  それから後の事は記憶にない。  けれど落ち着き払った副長の様子をみれば、すべては終わっているのだ。  その考えを肯定するジャーヴィスの声が聞こえた。 「はい。あなたがチャンスを作って下さいました。私はそれを無駄にしたくなかったのです」  淡々と語るジャーヴィスの言葉に、シャインは唇を噛みしめていた。  チャンスだと? そんなつもりは微塵もなかったというのに。  
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