2-21 かけがえのないもの

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 シャインはけだる気に椅子から身を起こした。  なかなか腕に力が入らない。  体が重くて、自分の物ではないようだ。  身を起こすとシャインは溜息まじりの息を吐いた。 「ストームは俺を信じてくれた。それなのに、俺は……」 「もう終わった事です。こちらが動かなければ、ストームがきっとあなたを裏切っていた」 「何の根拠があって?」  シャインは咄嗟にジャーヴィスを見上げ、語気強く言い放った。  正直あまり気分が良いとはいえなかった。  ストームとロワールハイネス号及び乗組員全員の命をかけて、熾烈な駆け引きをしたせいで神経が昂っているせいだろう。  それは妥協したり負けることは絶対に許されない厳しいものだった。  その緊張感から解放されたにもかかわらず、シャインは自分の心が晴れないのを感じていた。いや、むしろ重くのしかかるその感情で、気が滅入っていた。
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