2-21 かけがえのないもの

5/14
前へ
/398ページ
次へ
「あの女は海賊です。海賊は自分の利益しか考えません。そんな相手をいちいち信じていたら、命がいくつあっても足りません」  ジャーヴィスが感情のこもらない声で答えた。  シャインはジャーヴィスを睨み付けた。  簡単にそう言い切る彼の神経が信じられない。 「だからといって、相手が海賊ならどんな手段を用いても、許されるというのかい? 海賊だって人間なのに。俺は……そういう考えでいたくない。君も、あの人と同じだ。あの人のように、勝つためなら手段を選ばない……俺は、そんなやり方だけは絶対に嫌だ!」 「……」  ジャーヴィスはすぐに言葉を発しなかった。  けれど鋭い青い瞳は逸らされることなく、シャインを真っ向から見つめている。  シャインもまた熱を帯びた青緑の瞳をジャーヴィスから逸らせなかった。  ジャーヴィスが沈黙しているのは、シャインの言うことに正当性を感じているからだろうか。  ジャーヴィスが意を決したように口を開く。
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加