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「確かに私はストームを騙し討ちにしました。そうしなければ、あなたを助ける事ができなかったのです」
「ジャーヴィス……」
シャインはかぶりを振った。
どうして、どうしてそういう風になる。
「俺の事は心配いらないはずだ。身代金を払えば、一ヶ月で解放されるんだから。今回はたまたま、上手くいったかもしれない。けれど、君のやったことが失敗していたら、どれだけの犠牲が出ていたかわかるかい? 船だって奪われていたかもしれないんだ! 賢い君ならそれくらいのこと、わかっていたはずだ」
シャインは苛立ちを抑えきれずに言った。
もう済んでしまった事で、ジャーヴィスを責めるのは忍びなかった。
けれど彼なら、そう考えるはずだと思っていたのだ。
それなのに……。
ジャーヴィスは応接机の傍らに立ったまま、黙ってシャインを見下ろしていた。
そして手袋をした右手を上げると、形の良い額へ当てて溜息をついた。
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