2-21 かけがえのないもの

7/14
前へ
/398ページ
次へ
「ええ、わかっていましたとも。あなたを行かせたら、それは見殺しにする事と同じだと。私はグラヴェール中将のご気性を存じています。あの方は決して海賊に屈しません。いくらあなたの身代金でも、海賊であるストームに、1リュールたりとも金を支払う事はない。 あなたはそれを知っていて、けれど、私達を助ける為に敢えて取引の材料にしたのです。私に指輪を託そうとしたのも、中将に自らの形見にするつもりだったのでしょう?」 「……」  ジャーヴィスはシャインが考えていた以上の事を言った。  まさにそれは真実であったため、シャインはすぐに言葉を返すことができなかった。
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加