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「いいのよ、気にしないで。あなた……シャインっておっしゃったわね。ストームのことを話してあげてもいいけど、奴のことは、他の船がジェミナ・クラス港を出て、しばらくしてから襲われた、ってことぐらいしか知らないのよ。でも気を付けて。エルシーアにもっと、恐ろしい連中がやってくるみたい」
「……恐ろしい連中?」
胸騒ぎがした。
「あくまでも、噂なんだけどね。エルシーア海の東の方で、怪し気な船団がいるのを見たって、最近聞くの。だから、会社も各船に大砲をつけたみたいなのよ。うちって、東方連国へ定期便があるから」
やはり東、か……。
ツヴァイスは言わなかったが、ジャーヴィスがこんなことを言っていた。
海賊拿捕専門艦隊・通称『ノーブルブルー』が、ツヴァイスのウインガード号を除いて三隻、遠征に出ていると海軍月報に載っていたとか。
「ごめんなさい、かえって、困らせちゃったかしら?」
メリィの声にシャインははっと我に返った。
彼女が不安そうにこちらを見ている。
「いえ、貴重な情報をありがとうございました」
メリィは船首の手すりから、こちらを見下ろして話しかけていたが、おもむろにそれを乗り越えると、シャインの隣へ優雅に舞い降りた。
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