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「まあ値段は法外だと思うけど、そんな事情なら仕方ないね。アバディーンさんも本当に商売が上手いよ。普通、エルザリーナが捕えられた時点で、預けられたワイン樽も処分してしまいそうな気がするんだけどな。それをとっておくなんて」
シャインはあの恰幅のよい好々爺を思い出して目を閉じた。
「アバディーン氏はエルザリーナにワインを作らせるため、資金援助をしていたそうですよ。彼女の作るワインの味を知るが故に、大切に今日までとっておいたんだと思います」
そっとジャーヴィスが立ち上がる気配がした。
シャインは再び目を開けた。
「どうです? 艦長。折角ですから、このワイン開けてみませんか?」
シャインは微笑しながらうなずいた。
「これは君のものだ。ジャーヴィス副長。君がそうしたいのなら、そうすればいい」
ジャーヴィスがはにかみながら目を伏せた。
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