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「エルザリーナがそう言い残したんだろう? それにそんな危険性があれば、アバディーンさんがこれを俺にくれるはずがないし、600万リュールという法外な値段で売る事もない」
しかしジャーヴィスは真面目な顔でシャインを見返した。
「でも万が一、ということもありますよ? この酒はエルザリーナの酒蔵で作られたものではありません。アバディーン商会の酒蔵に10年寝かされていただけなんですから。保管されていた条件によって、樽ごとに発酵の度合いが違う事も考えられます。だから……」
シャインはジャーヴィスの言わんとすることを理解した。
「毒性が残っているかもしれないというのか?」
ジャーヴィスは眉間に皺を寄せて深くうなずいた。
「私はその可能性があると考えます」
「じゃ、俺が先に飲もう」
「グラヴェール艦長、ま、待って下さい!」
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