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「ああ、しない。じゃ、離すよ」
ジャーヴィスとシャインは再び互いを睨み付けたまま、ゆっくりと互いを押さえ付けていた手を離した。
そして同時にグラスに唇をつけた。
味わう事など考えず、一気に喉に流し込む。
シャインは目の前で星がちらつくのを感じた。同時に濃厚な葡萄と薔薇のような香りが口の中に広がり、喉が焼けるような熱さを感じた。
「……どうだい? ジャーヴィス。気分は?」
ジャーヴィスもグラスの酒を干して、一瞬焦点が定まらないようにシャインの顔を見つめていた。だが彼は冷静に空になったグラスを机の上に置いた。
「どうやら大丈夫みたいです。グラヴェール艦長」
「そう……それは、よかった」
シャインはジャーヴィスに笑ってみせた。
そして彼の顔が不意に闇に溶けたことも気付かず、長椅子の上に倒れ込んだ。
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