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「エリック、エルマ、早く艦長を下へ運んでくれ」
「わかりました」
「後、首の傷に止血をするんだ。急げ」
ストームの視界に、意識を失っているシャインを、かけつけた水兵に預けるジャーヴィスの後ろ姿が見えた。
3000万リュールが逃げる。
冗談じゃない。
「待ちな! その坊やはあたしのものだよ!」
ストームの振り上げた白刃が、メインマストの停泊灯の下に煌めく。
振り返ったジャーヴィスは、迷いもせずその前に立ちはだかった。
「黙れーー!!」
パキィンッ!
鏡が割れるような音と共に、ジャーヴィスの手に握られていた斧が横への光の軌跡を描いて、ストームの剣を真っ二つにしていた。
折れた刀は、ストームの頭上すれすれに回転して飛んでいき、後ろのメインマストに突き刺さった。
ストームはその衝撃で尻餅を付いた。
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