不思議の国と無垢なる珍獣

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 まあ、そういうことだろう。  つまりこれは『アリス』の“終わりのないお茶会”だ。  ちなみにヤマネとは齧歯類ネズミ目の一種で淡褐色のネズミのことだけど、本編では立派なお茶会メンバーだ。  たぶんルイス的にはダジャレで彼をここに放り込んだのだろう。  ヤマネ氏が恐る恐るといった感じで、ぼくらに尋ねてきた。 「……不思議の国(ワンダーランド)をモチーフにした体感型テーマパーク?」  ぼくとレイクスは視線を交わして、深いため息をついた。 「だったら良かったんだけど。わたしが知ってるテーマパークって場所では、人は死なないと思うのよ、オジサン。事故でも起これば別だけど」  そのときのヤマネ氏の表情たるや、何とも言えない感情の入り交じった味のある顔で。  そうして中年男はもう一度自分を指さして呟いた。 「えーっと……わ、私、死ぬかもしれないので?」  なぜかぼくに尋ねてきたヤマネ氏に、ぼくは先ほどまでの鬼ごっこを思い出して、ただ深くうなずくしかなかった。
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