愛したい人、愛すべき人

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愛したい人、愛すべき人

 学校は、糸がうんざりするほど絡まっている。 「ねぇねぇ、もしかしたら私たちってぇ、運命の人同士なのかもね?」 「あはは、もしかしたらそうかもね?」 「もー、ユウくんったらー」  ねぇ、そこのカップル。そんなこと言ってても、君たちは全然運命の人なんかじゃないよ。  あ、すれ違った人。ストーカーされてるの気づいてる? 糸、首にかかりそうになってるよ。気を付けなよ?  今そこで喧嘩してたお二人。犬猿の仲なんだね。君たちは運命の人みたいだよ。  ……なんて、見知らぬ人に言われても信じないと思うから、私は何も言わない。  でも、本当に運命の赤い糸ってあるんだよ。  だって、私には見えるんだから。  生まれつきの特異体質。  この紅い瞳という特殊な体質を持った私には、運命の赤い糸が見えるという特殊な能力がある。  でも、全然私は嬉しくない。こんな力、ない方がいいに決まってる。  赤い糸が見えるから、恋愛で傷つくことがないなんて、そんなわけないでしょ?  毎日、私は傷ついてるよ。だって。 「お、陽菜(ひな)。待ったか?」 「ううん。今来たところ。じゃあ、一緒に帰ろ?」 「当たり前だろ。彼女を置いてなんかいかねーよ」     
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