2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「ふふっ、さすがだね。ちょっとだけときめいちゃったよ」
「お前もときめくなんて感情持ってんだな……」
「まあ、ちょっとだけ?」
「女子ならもっと持っててほしかったんだが」
「私に『女の子』を求めないでくれる?」
「はいはい。ったく、高校生ってこんなプラトニックな恋愛しねーだろ……」
「私は、これで幸せだよ?」
「……俺も、幸せに決まってるだろ」
ありがとね。そんな言葉は飲み込んで、彼の小指を見る。
……ごめんね。私だって君のこと、幸せにしてあげたかったよ。だけどさ。
君の赤い糸は、私の小指とは結ばれてないみたいなんだよね。
この赤い糸は、割とすぐ結ぶ人を変える。人間は出会いの連続。偶然が重なりあってできたこの世界で、確定事項なんて存在しないってことなんだろう。
暫定的にこの人、ということなのかは分からないが、学校の中の赤い糸は、結構外とつながっている人は少ない。
つまり、今時点で関わりの強い人、もしくは出会える確率が高い人の中での運命の人を赤い糸は示しているのだろう。
だからこそ、君とこの時点で結ばれていないってことは、もう運命の人ではないってこと。
最初のコメントを投稿しよう!