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六つの異なる世界の根本となるユグドラシルを管理し世界間同士で干渉し合わないようにいつの時代も常に監視し続けてきた、非常に気の遠くなるような途方もない歴史を持っている組織だ。
グラズヘイムの歴史はユグドラシルの生誕と共に始まったとされている。誰がいつ設立したのかは不明だが、その意志は今でも変わらずに受け継がれ、その鉄則も今でも変わらずに続いている。
ユグドラシルは六つの世界の土台であり、糧であり、母でもある。ユグドラシルが枯れるとき、それは全ての世界に終焉が訪れることを意味する。
その世界の柱とも言える大樹を絶えず守ることがグラズヘイム機関の宿命であって、存在意義なのだ。
..第一章 ファーストコンタクト
――事件だ。これは、俺史上最大の……、いや、今世紀最大の――事件だ。
七月二十日。時刻は、午前一時五十五分。
「くそっ、これでドッキリだったら俺ってすげえマヌケっぽいな……」
人気のない深夜の坂道を風を切って俺は必死に自転車で下っていく。終業式も終わり明日から夏休みだっていうのに、なんだってこんな汗臭いことをしているのかといえば……そう、全てはあの手紙が元凶だ。
――日付は一日| 遡って、七月十九日。
「ねえハル、起きて。いつまで寝てるの」
薄い意識の中、誰かの声が聞こえ肩を揺さ振ってくる。
「う~ん、あと五分だけ……」
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