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まで追い詰めたのに……ああ、待ってくれ俺のメタルよ……。夢から目覚め徐々に現実へと引き戻されていく。
もう少し惰眠を貪っていたかったが、おちおち寝てもいられなくなったので顔を上げると、
「やっと起きた……。さっきからずっと呼んでたのに」
眉尻を垂らし、愛嬌のある大きな眼と小さな鼻の下で口をへの字に曲げた、よく見知った顔の女子生徒が肩からスクールバッグを提げて立っていた。
赤味掛かった肩までの髪に、困ったような、安堵したような表情を貼り付け、我が校指定の浅葱色のブレザーと深緑のプリーツスカートの制服に身を包んだ少女が俺を見下ろしている。
因みに俺も着ている男子の制服は、浅葱色のブレザーにグレーのスラックスだ。
「……何だ、菜夏か。俺の貴重な至福の時を邪魔するなんて……ふああ」欠伸が漏れる。
周りを見ればがやがやとクラスメイトたちが歓談したり鞄を持って忙しく教室を出て行ったり、と放課後のムードが漂っていた。
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