雨が降ったら

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雨が降ったら

雨が降ったら、僕は家を出ない。 天候に気分が左右されるのは、僕の欠点だ。 雨にも種類がある。 小雨、大雨、土砂降り、ザーザー雨に霧吹き雨、通り雨。 僕の知っている雨の形はこれくらいで、結局どれも雨で水の槍。 こういう日は何処にも出掛けず、家に引きこもりたくなるのがいつもの現象。 だから今日も僕は、スマホから友人に謝りの連絡を入れる。 「ごめん、やっぱり今日会うのはやめよう」 土壇場で友人との予定を断って、自分の予定も白紙に戻す。 決めている訳じゃない。けれど、いつもそうなってしまう。 罪悪感にうちしがれながら、自分で孤独を引き寄せている。 雨は強い敵。 無抵抗に濡らされて、体温を奪われ、せっかく作った僕が崩れていく。 髪は乱れ、鼻水は垂れ、色の変わった洋服でセンスは台無し。 最寄駅が遠いことも相まって、気持ちさえ(しお)れていく。 けれど、家に居る間の雨は温かい。 戦う必要がないとわかっていると、不思議と親近感が湧く。 雨がいつものように脅威で居てくれるおかげで、僕の心は落ち着く。 調子に乗って風なんかも吹かせた日には、少しだけわくわくする。 窓ガラスに打ち付ける雨の音と、風によって揺れる窓ガラスの音が、     
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