1 わたしとアイドル

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 このへんはプロローグだ。さすがにさっしーの活躍は知っていたし、観ることになんの抵抗もなかった。YouTubeでさっしーと小林よしのりの対談を見てから、指原莉乃という存在の凄さを毎日感じる。あまり可愛くない近所の子が、毎日会っているうちに魅力を増していく。いつのまにか彼女に夢中になっている自分。追いかけている自分……  酒を飲み、飯を食いながらなにか観る。  わたしは物心ついたころから感動できるなにかをずっと探し求めていた。音楽でも映画でも小説でもアニメでもいい。わたしはつねになにかに夢中になっていたかった。興味が魅かれるものがなくなるのは、恐怖でしかない。  なんのために生き、なんのために思い悩み苦しみを感じているのか。  14歳の頃、Mr.childrenのアルバムを買った。桜井和寿のセンス、声が好きだ。  わたしにはずっとサッカーがあったし、  M・ナイト・シャマラン、デヴィット・フィンチャーのサスペンス映画があった。  10代の頃はそういったものがつねにあったのだが、年を重ねていくうち、自分から手を伸ばして探さないと、それは得られなくなっていくを感じた。  リモコンの停止ボタンに手が止まった時に、ふと我に返って思う。わたしも頭の固いおっさんになったなと。この世に人の心を動かすもの、それは本当に数少ないのだと知らされる。いまは死に物狂いで探している。なににも否定的な自分と戦いながら。
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