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1、鮮度
コケコッコー!
毎週月曜日の午後二時半。
いつもと同じく綺麗なマンションの下に停車して今日も美味しい卵を持ってきたことをみんなにお知らせする
「あら海くん!今日もご苦労様」
常連のおばちゃんがニコニコで一番に卵を買いに来る
「今日も新鮮な卵持ってきましたよー」
「あら、それじゃあ1キロお願いしちゃおうかしら!」
「まいど!」
おばちゃんが帰った後も色んなお客さんがやってくる
いつも通り15分くらいいて、そろそろ違う場所に移るために片し始めた時
「ま、待ってくださぁ~い」
スーツ姿の女性が走ってきた
「い、いらっしゃい」
随分慌ててきたのだろうか。片方に結われている三つ編みが所々ボサボサだ
「た、卵ください」
「は、はい!ありがとうこざいます」
卵を袋に詰めて彼女に手渡すと
「あ、あのっ、、、私ここの卵が大好きで、、その、、い、いつもありがとうこざいます!」
「っ////い、いえ、またのご利用お待ちしています!」
卵を売っている身としてはそんなことを言ってもらえることはこの上ない喜びだ
だけど何故か彼女に言われると嬉しさの他に気恥ずかしさと言うか
愛しさのようなものがこみ上げてきた
このまま彼女と目を合わせていれば一気に上昇した体温が更に上がり
今手に持つ卵に熱が伝わって雛が生まれてしまいそうだ
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