ひとり

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ひとり

私は一人が好き 平日は会社と家の往復を繰り返す 会社ではただ最低限のことしか話さず定時にあがり 家では風呂上がりのビールを楽しみ 独身貴族気分で一人に浸るのが私は好き 私は一人が好き 休日は家でのんびり過ごしたり一人旅行へ行ったりをする 家に遊びにくる友達もいないし  一緒に旅行へ行く彼氏もいないし 一人で何でも楽しめる「おひとさま」という言葉が私は好き なぜ、他の人はみんなで何かをしようと思う人が多いのだろう なぜ、1人で何かを楽しんだりどこかに行ったりする人は少ないのだろう 私は一人が好きなのに 会社で後輩2人の教育係になった 後輩に注意もしたし、ミスのフォローもした 教えながら複数で仕事をすることは面倒くさい 一人の方が楽で私は好きだったのに 私は一人が好きなのに 後輩や先輩に飲みに誘われることが多くなった 後輩からは笑顔で挨拶されたり仕事の質問をされたり 先輩からは励ましの言葉をかけられたり仕事のアドバイスをもらったり 1人で飲む方が私は好きだったのに なぜ みんなは私を気にかけてくれるのだろうか なぜ 一人の好きな私がこの空間を居心地いいと感じ始めているのだろうか 私は一人が好きだった 久しぶりに定時でそのまま帰宅できた 風呂上がりのビールを飲んだ なぜか部屋が広く感じ、やけに静かだと感じた 前までは当たり前のことだったのに 心に穴が空いている感覚 何かが欠けているような不安な気持ち これが「寂しい」っていう感情 私は初めて独りを知った
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