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「明日、死ぬ」
友人は、そう言った。
心臓が凍り付くような冷たい声と顔だ。
「なんだって?」
ぎょっとして僕は聞き返した。
「え? 俺、今何か言った?」
「言ったよ。明日死ぬ、って……」
「そんな物騒なこと言うわけないだろ」
怪訝な顔をしている。
空耳? 僕には確かに聞こえたのに。
金曜の昼下がり。暢気な私大生の僕達は、学食で駄弁りながら明日の遊びの予定を決めていた。
「じゃ、明日の十時に駅でな」
屈託のない笑顔で友人は去っていく。自信の死を予告した人間にはとても見えなかった。
(やっぱり空耳か……でも――)
妙な胸騒ぎを無視できなかった。
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