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もしも、もしも……。
違う。
僕はその選択を自分でしてきた。
父親が好きなのに振り向いてくれないから、心配させてやりたかった。そのうちに虚しくなって死にたくなったんだ。
水も飲まずに炎天下を歩いていたのは僕がしたことだ。
僕はあの幸せそうな家族を助けたかった。車線変更をしようとしてスピードが緩んだところで、僕は飛び出したんだ。あの白いワンボックスカーの前に。
……自殺。
僕は自ら命を投げ出したんだ。
「行きましょうか、圭くん」
「……うん。付き合ってくれて、ありがとう」
だから僕は死んだのだろう。
だから僕は泣いたのだろう。
自分がやってしまったその重さに、幸せになりたいと願った我儘に、それでも愛していた家族に、人を責めてしまいそうになる未熟だった僕に気づいたから。
生きてきた全ての日々が死にたいという想いに消された瞬間。
僕はすでに死んでいたのだと思う……。
この先、どうなるかなんてわからない。でもやっぱり僕は、どうしても幸せを願ってしまうんだ。
END
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