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「あの、私をあまりジロジロ見ないでくれます?」 「まりかさんというより、着物を見ていただけです」 「とてつもない屈辱ですね。これだから中学生は……」 「高校生です」 「……子供みたいな顔ですね」  何か癪に障ったらしく、ひたすら僕を責めてくる。そこも幼稚な部分だ。 「もう、面倒臭いから説明省くけど」 「説明してくださいよ。何もわからないんだから」 「……とにかく、あなたどうして死んだの?」  説明を省くと同時に、敬語も省いてしまったらしい。言葉遣いが変わるだけで別人みたいだ。  新人の水先案内人が来た気分。態度といい、喋り方といい、死んだ人間に対するマナーがなってない。  いや、まあ。水先案内人なんて見たの初めてだからよくわからないけど。 「見たところ事故っぽいけど?」  確かに見るからに事故死だ。というか、そのくらいのこと知ってるんじゃないだろうか。 「あの……」 「知ってるわよ。あなたが死んだ理由。でも本人からの言葉がないと連れて行けないの。自らの口で私に伝えて契約成立。私が案内します、みたいなシステムよ。じゃないと、幽霊を勝手に連れ回した罪に問われるんだから!」
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